
訪日旅行消費額の拡大・地方誘客に資する高付加価値旅行(1人あたりの着地消費額100万円以上の旅行)の推進に向けた取り組みの一環として、日本政府観光局(JNTO)は、高付加価値旅行の市場規模を調査した。
2023年に調査対象市場から世界・日本へ旅行をした高付加価値旅行者の消費額および旅行者数を推計し、2019年データと比較した。その結果、増加率は世界を上回ることが確認され、2023年の訪日高付加価値旅行市場は消費額・旅行者数ともに大幅に増加した。
調査概要
対象:2023年に実施された高付加価値旅行(1人あたりの着地消費額100万円以上の旅行)
市場:前回調査(調査対象年:2019年)において高付加価値旅行の市場規模が大きかった市場から、地域バランスを考慮して以下の市場を選定。市場別と全市場*1の市場規模を推計。
世界の高付加価値旅行:5市場(中国、米国、中東*2、シンガポール、英国)
訪日高付加価値旅行:10市場(上記5市場に加え、豪州、香港、韓国、台湾、タイ)
方法:クレジットカードの決済データなどに基づく推計
項目:世界の高付加価値旅行市場および訪日高付加価値旅行市場の消費額、旅行者数
*1 全市場とは、前回調査(調査対象年:2019年)の調査対象24市場を指し(別紙P2参照)、上記以外の市場は平均伸び率等を用い推計。
*2 GCC6か国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、オマーン、カタール、クウェート)
主な調査結果
■消費額
2023年の訪日高付加価値旅行者の消費額は2019年比+50.6%で1.0兆円であり、同年の世界の高付加価値旅行者の消費額は2019年比+17.6%で21兆円であった。訪日の伸びが世界を上回った。
同年の訪日外国人旅行消費額(全体)*3は2019年比+10.2%で5.3兆円であり、訪日旅行の中でも高付加価値旅行の伸びが顕著だった。
また、訪日外国人旅行消費額(全体)に占める高付加価値旅行消費額の割合は、5.1ポイント増加し、2019年の14.0%から2023年は19.1%となった。
■旅行者数
2023年の訪日高付加価値旅行者数は2019年比+83.2%で59.0万人であり、同年の世界の高付加価値旅行者数は2019年比+32.5%で1,157万人であった。訪日の伸びが世界を上回った。
同年の訪日外客数*4は2019年比-21.4%で2,507万人であり、訪日旅行の中でも高付加価値旅行の伸びが顕著だった。
訪日外客数に占める高付加価値旅行者の割合は、1.4ポイント増加し、2019年の1.0%から2023年は2.4%となった。
■訪日高付加価値旅行の市場別順位
2023年の訪日高付加価値旅行者の消費額の市場別割合上位3市場は、中国(23.0%)、米国(16.3%)、台湾(13.1%)であった。旅行者数の市場別割合上位3市場は、同じく、中国(24.6%)、米国(16.5%)、台湾(12.7%)であった。
*3 観光庁 訪日外国人消費動向調査(2023年)
*4 JNTO 訪日外客統計(2023年)
※JNTOより一部引用