楽天LIFULL STAYとBooking.comは12月11日、民泊事業に関する業務提携に合意したことを発表した。楽天LIFULLL STAYが住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される来年6月に開設するウェブサイト「Vacation Stay(仮称)」に掲載する国内の民泊施設を、Booking.comのウェブサイトにも掲載する。なお、昨年2月にはBooking.comが、取り扱っている海外の宿泊施設を「楽天トラベル」に掲載するなど、楽天グループとBooking.comはこれまでにも協業の実績がある。
楽天LIFULL STAYはこれまでに、エクスペディアグループで民泊仲介サイトを運営するHomeAwayなどとの提携を発表しているが、グローバルなOTAとの提携は今回が初めてで、販売力に期待する。一方、これまで日本国内では簡易宿所や特区民泊などに限り民泊物件を扱ってきたBooking.comは、今回の提携を皮切りに日本の民泊市場に本格参入する。
同日に開催した記者会見で、楽天LIFULL STAY代表取締役の太田宗克氏は「訪日外国人旅行者が日本の宿泊施設を検討する際、ホテル予約サイトと民泊予約サイトを見比べて物件を探す傾向がある」と説明。「Booking.comを介して1つのプラットフォームで色々な宿泊施設を見比べることができるようになり、お客様に新しい選択肢と利便性を提供できる」とメリットを語った。提供する物件数などについては非公開としたが「オーナー向けのセミナーには定員を大幅に超える申し込みがある。想定上に反応が良い」という。
太田氏は「Booking.comは世界最大のOTAで、抜群の集客力を持つ」と語り、訪日客の取り込みのさらなる強化に期待を示した。あわせてBooking.comで多く検索されている方面の民泊物件の取り扱いを強化するなど、マーケティングの面でも協働するという。
太田氏は「我々はオープンプラットフォーム戦略をとっており、民泊物件の販売機会を増やすため、さまざまな会社との提携を検討している」と説明。楽天トラベルで取り扱っている旅館やホテルなどについては「(民泊の取扱いについて)理解していただけるよう説明している」と語った。そのほか、日本人向けの海外の民泊物件の取扱に関しては「次のステージとして検討しているが、まずは国内の合法民泊を集めることにフォーカスする」と話した。
Booking.com北アジア地区統括兼日本地区統括リージョナル・ディレクターのアダム・ブラウンステイン氏は、同社が229ヶ国で扱う約150万軒の宿泊施設のうち、80万軒以上が民泊物件であることを説明。同社が今年に入り全世界で実施した調査でも、1万9000人以上の回答者の33%が民泊に関心を示していることを紹介し、民泊の需要の高まりを強調した上で、「日本国内の民泊物件は少なく、需給バランスが取れていない。今回の提携はお客様の選択を増やす良い機会」と語った。
なお、同社が取り扱う日本国内の宿泊施設数は16年は8800軒だったところ、現在は1万8500軒まで増加。民泊物件数については明らかにしていないが、簡易宿泊所などの小規模施設が増えているという。
会見ではそのほか、ブラウンステイン氏がAirbnbについて言及し、「競争を歓迎している」と述べた上で、「我々は民泊以外にもバラエティあふれる宿泊施設を提供している」とアピール。太田氏は複数回に渡り「民泊新法を厳守する」と強調し、「オーナーが資格やルールを守っているかしっかりチェックし、クリーンな民泊のみを取り扱っていきたい」と話した。