日本航空(JL)は2月8日、百戦錬磨と民泊を活用した地域活性化の推進や地域の魅力発掘について包括業務提携を締結するととともに、同社の株式の「数%」を取得して資本参加したことを発表した。業務提携締結と株式取得の時期は昨年末で、取得額は「数億円程度」という。今後は奄美市を皮切りに、共同で観光素材の掘り起こしやプロモーション、訪日外国人旅行者の送客促進などに取り組む。
本田氏
2社は2016年から、農山漁村地域の体験型観光や民泊の促進について提携。ジャルパックはすでに、沖縄の民泊施設をダイナミックパッケージに活用しているが、同日に開催した記者会見でJL執行役員国内路線事業本部長の本田俊介氏は「これまでの関係は薄かった。どの地域の活性化においても課題となる宿泊施設不足に本気で取り組む必要があると感じ、資本提携を決めた」と語った。
百戦錬磨については「新たな価値を創出できる、体験型の『合法民泊』を取り扱っていることに価値を見出した」と説明。「各地域への送客には、その地域に行く理由の創出と、現地での体験の提供が必要。我々のみでは難しい取り組みを、百戦錬磨と連携することで補完したい」と期待した。今回の提携により、同社の国内線を利用する訪日外国人を10%から20%増やしたい考え。
上山氏
百戦錬磨代表取締役社長の上山康博氏は、民泊について「観光地として非常にポテンシャルが高いが宿泊施設が不足している地域のソリューションになる」と意義を強調。「我々と地域の皆様の三位一体で新たな需要を作っていきたい」と意欲を示した。なお、同社はANAセールスとも協業し、ダイナミックパッケージへの民泊物件提供や、共同プロモーションを実施しているが「それ以上の協業の話は出ていない」という。
今後は「観光地として非常にポテンシャルが高いが宿泊施設が不足している地域」を「モデル地域」として選定。古民家や宿坊、農家、城などでの民泊促進に取り組む。加えて、JLの訪日外国人向け観光情報サイト「JAL Guide to Japan」」や百戦錬磨の予約サイト「STAY JAPAN」などで各地域のプロモーションを実施。JLの訪日外国人専用パス「JAL Japan Explorer Pass」は「STAY JAPAN」でも販売し、ジャルパックのダイナミックパッケージで取り扱う民泊施設については拡充に努める。
奄美市での民泊事業については、住宅宿泊事業法案(民泊新法)による民泊施設の登録受付が始まる3月中旬を目処に地域住民向けセミナーを開催するほか、エコツーリズムなど地域の特性を活かした体型験商品の企画・販売などに取り組む。本田氏は、アジアの富裕層や欧米からの旅行者をターゲットに設定したことを説明した上で、今後は道東など自然が豊かな地域で同様の取り組みをおこなう方針を示した。